ベージニオとはのイメージ画像

ベージニオとは


べージニオは、毎日飲むことで乳がんの再発リスクを軽減したり、
再発・転移してしまった場合の進行を遅らせ、がんを小さくするお薬です。

ベージニオを服用される患者さんとご家族へ、ベージニオについて知っておいていただきたいことをお伝えします。

本ページの内容は動画でもご確認いただけます

ベージニオが使われる2つの治療場面

ベージニオはホルモン受容体陽性、HER2陰性で
「手術後」「再発または転移が認められた」いずれかの
患者さんを対象に使用されます。

【手術後の患者さん】

  • 乳房の中に発生した乳がんを原発性乳がんと呼びます。乳がん細胞は乳管の外に出た状況になると(浸潤がん)、リンパの流れに沿ってリンパ節に、血液に入って全身に流れていく可能性があります。画像所見などで、乳房内とリンパ節にがんが留まる場合は、手術治療を基本とし、その前後に薬物療法や放射線治療を行います。原発性乳がんに対する治療のことを「初期治療」と呼びます。
  • 初期治療の目的は、からだからがん細胞を完全になくすことです。目に見えるがんを手術で取りきった後、目に見えない、からだに広がっている可能性のあるがん細胞を消し去る目的で、全身に作用する薬物療法を行います。
  • 手術の後にベージニオを使う場合は、ホルモン療法薬と一緒に、最長2年間服用します。
ベージニオには治療目的が2種類あります

【再発・転移が認められた患者さん】

  • 初期治療で目に見えなくなったがんが、後から見えるように大きくなることを「再発」と呼びます。また、乳房から離れた骨や肺などにできるがんは「転移」あるいは「遠隔転移」と呼ばれます。これらに対する治療は「再発・転移の治療」として初期治療とは区別しています。
  • 再発・転移の治療は、がんの進行を抑えたり症状を和らげることでQOL(生活の質)を保ちながら自分らしい生活を長く続けることを目指します。
  • 再発・転移の治療でベージニオを使う場合は、ホルモン療法薬と一緒に、効果を確認しながら服用します。
再発・転移乳がんの治療目標

ベージニオの服用方法と注意事項

ベージニオは1日2回、毎日服用するお薬です。
ホルモン療法薬と一緒に使います。

  • 服用方法の詳細

    • 毎日決まった時間に規則正しく服用しましょう。食事の前後どちらでも服用することができます。
    • 副作用の程度によって、1回の量を減らしたり、一時的に休薬することがあります。
    • コップ1杯程度の水またはぬるま湯で飲んでください。
  • 服用期間

【手術後の患者さん】

ホルモン療法薬と一緒に最長2年間服用します。その後はホルモン療法薬のみを継続します。

【再発・転移を認めた患者さん】

効果を確認しながら、ホルモン療法薬と一緒に服用します。

1日2回・毎日服用イメージ画像
ページニオと一緒に使うホルモン治療薬。アロマターゼ阻害薬(飲み薬)、抗エストロゲン薬(飲み薬、注射)、LH-RHアゴニスト製剤(注射)

●注意事項

副作用などで服用が難しい場合は、主治医に相談しましょう。

「間質性肺疾患」や「肺塞栓症(静脈血栓塞栓症の一種)」が疑われる症状 がみられたら、服用を中止し、速やかに治療を受けている医療機関に連絡してください。

決められた時間に服用し忘れたら、飲み忘れた1回分は飛ばし、次の分から通常の時間に1回分服用してください。

謝って2回分を1度に飲まないようにしましょう。

決められた時間

他の病院や薬局に行く際は、ベージニオを飲んでいることを必ず医師や薬剤師に伝えてください。

一緒に摂取すると、ベージニオの副作用が出やすくなったり、効果が弱まったりする食品やお薬があります。

他の病院や薬局に行く際

グレープフルーツやグレープフルーツジュースの飲食は避けましょう。

グレープフルーツは避ける

ベージニオの働きかけの仕組み

ベージニオは、がん細胞が増える細胞周期を
止め続けて進行を遅らせ、がんを小さくするお薬です。

①正常な細胞のイメージ画像

わたしたちの体を構成している細胞は「細胞周期」の過程を経て2つに増殖します。細胞周期のコントロールにはさまざまな物質が関わっており、それぞれが細胞の増殖を促進または抑制しています。例えばCDK4とCDK6は細胞の増殖を促進する物質です。

②乳がん細胞のイメージ画像

がんは細胞周期が過剰に進行し、異常な細胞が無秩序に増殖していく病気です。乳がん細胞の異常な増殖には、CDK4とCDK6の異常なはたらきが関与しています。

③ページニオで治療した場合のイメージ画像

ベージニオは、乳がん細胞の異常な増殖に関わるCDK4とCK6を阻害する「CDK4および6阻害薬」です。CDK4とCDK6を阻害することで、細胞周期の進行を停止させ、がん細胞の異常な増殖を抑制します。

Morgan DO. The Cell Cycle: Principles of Control, 2007
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